« 新年の「朝まで生TV」感想090102 | トップページ | ケインズは何を主張したのか?(前編)090107 »

新春のサンデープロジェクト感想090106

1.090104,TV朝日のサンデープロジェクトでは「フィンランド特集」が行なわれた。今回記事は、これを魚に今後の日本の経済戦略の一端を論じる。当HPが特にフィンランドに詳しい訳ではない。

1.現在北欧は、米国発のサブプライムに端を発する世界大不況の中で、大きな困難に見舞われている。各国の銀行は何処も厳しい状態にあり、特にアイスランドは国自体の存続が問われる状態にある。他の北欧3国も程度にばらつきはあるが厳しいことに変りはない。

こうした中で、サンプロ特集によるとフィンランドは次のような戦略でものづくり・外需創出に成功した。
1*嘗てのバブル崩壊後の厳しい状態においてもハイテクと教育への投資を続けた。ここからノキアなどの成功が果実となった。
2*フィンランドでは、こうした国の投資への評価が厳しい。甘さと無駄を排除する。
3*はじめから世界(外需)を狙っている。特に世界標準を狙っている。
4*教育に大きな投資がなされるが、そうして育った人材が外国へより多くの高給を求めて出て行くことが少ない。自分はフィンランド社会に育てられたのだからフィンランドの役に立ちたいとの発言が紹介されていたが、”社会に育てられた子供は社会の役に立ちたい”と思うのではないか。

1.おそらく、フィンランドは今後もこうした戦略で成功するのではないだろうか。それが日本の参考になるだろうか?視聴者から電話があったというが、「増税して日本をフィンランド化しても公務員が食い物にするだけ。裏金天国だ」との敗北主義的声もある。だが一番の問題は、このようなフィンランド的戦略で今後の日本が生きていけるかだ。

1.現在、米欧は銀行・大企業を中心にCDS6千兆円(残高のダブりがある為、実際はその半額くらいかもしれないし、或いは隠れた不良債権が隠れており更に多いのかもしれない)という莫大な損失を受け、金融業は破綻した。そこで米欧は「外需・ものづくり立国」に打って出る必要を感じている。フィンランドだけではないのだ。中国などのBRICsを含め、あらゆる国が今後、ハイテクと教育への投資を行い、全く同じ戦略(1*-4*)をとるだろう。その結果、工業製品は地球上にあふれ、嘗てない厳しい不況となるだろう。

しかも、今まで日本の外需依存・工業立国が成功したのは、世界人口が急激な増加傾向にあり、これを利用した薄利多売戦略が成功したためだ。日本は戦後、真に独創的な技術を生み出したことはなく、外国の物まねと改良でやってきたのである。独創性では欧米・更には中国にも大きく劣っているだろう。欧米や中国が今後外需狙いで本気を出してきたとき、日本が同じことをやって勝ち残れるかどうかはやってみなければ分からないが、ハイリスク・ローリターンであることは確かだ。ついでに言えば、「内需を切り開くことは容易でない・日本はこれまで結局外需しか出来なかったではないか」このことは今後、大不況の中で米国にも中国にも、あらゆる国に言えることだ。

1.次に考えなければならないことは、「1930年代恐慌が世界戦争につながって行った教訓を学ぶ必要がある。世界は今こそ協調しなければならない」この言葉は正しい。だが現実に起きていることはこの逆のことである。毎日社説「09年チェンジ 世界同時不況 協調こそ回復の処方せんだ」(2009年1月5日)によると、

「昨年11月に米ワシントンで開かれたG20金融サミットで、首脳らは「協調」を高らかにうたった。08年内にWTOの自由化交渉で大枠合意をめざすこと、少なくとも1年間、新たな貿易障壁を築かないことを誓った。だが参加国のロシアとインドは、たちまち関税の一部引き上げを決め、インドネシアやアルゼンチンも輸入制限に動いた。WTO交渉は合意のための閣僚会合さえ開けなかった。G20は早くも期待を裏切った」。

これらのことはあからさま過ぎるが、先進国は更に手の込んだ「貿易障壁」を築き上げ、現状は既に経済戦争状態に入っている。それが政府によるバラマキと・低金利政策だ。

たとえば米国がビッグ3に金を出すというが、米国トヨタに金が来る訳ではない。えこひいきである。一国が低金利政策を打ち、その国の通貨が下落すると(近隣窮乏化政策)、周りの国は輸出が不利に成るから次々に近隣窮乏化政策が広がり遂に全世界に広まった。フィンランドの行っている「ハイテクと教育への投資」という名のバラマキも近隣窮乏化政策である。こうした政策が今後全世界に広がるだろう。行き着くところは世界戦争を起こすことは現在困難だからテロとの闘いであり、欧米がアフガン戦争に積極的なのもそこに狙いがあるのだ。これでは「1930年代恐慌の教訓」は全然生きないだろう。

1.だから、世界の流れに逆らうのではなく、世界と同じことをやって競争し、他国を滅ぼして日本だけサバイバルしようと考えるのでなく、流れを逆手に取り・活用することで世界の人々から感謝される道を選択する必要があるのだ。現在欧米はCDSなどの大損害で金融は麻痺状態にある。また日本だけが莫大な個人金融資産を持ち、欧米の借金だらけの個人資産状況とかけ離れている。そして今後円高になるのである。これを活用できる唯一の道は何か?福祉や温暖化防止に金を出すことは必要で内需も増やす必要があるがそのためにも外国から稼ぐ必要がある。金融で稼ぐか、ものづくり=工業製品輸出で稼ぐか?ものづくりで稼ぐには、それだけの投資をしなければならない。先ほど述べたような厳しい状況で大きな投資をすることは賭けであり、失敗すれば大変な不況となってのしかかってくるのである。その時国民から戦争を望む声は確実に高まることになるだろう。1930年代の教訓をどう生かすのか?今こそ金融立国のため国の借金を大きく減らす時期なのではないのか?持てる力を何ら発揮することなく坂道を転げ落ちるタイム・リミットも次第に近付いている。

« 新年の「朝まで生TV」感想090102 | トップページ | ケインズは何を主張したのか?(前編)090107 »

目次

無料ブログはココログ